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健二はそっと、赤ん坊を抱き上げる。暗くてわかりづらいが、眼は宝石のようなクリアブルーなのだろう。
肌はモチモチと桃を連想させ、血色の良い唇からは涎が垂れている。少し驚いたように部屋を見回したかと思うと間をおいて、部屋中を突き刺すような泣き声が響く。
(そりゃ泣くか…)
母親を探しているのだろうか。腹が減っているのだろうか、それとも排便だろうか。少し考えた後、
(臭いはないな)
麻袋の置いてあった場所に軽く放った。
どしっ、という音と共に更に激しく泣きじゃくる赤ん坊を置いて、火をタバコにつけると、暫く考える。
健二の夢であった子供を手に入れる事。辿り着いたその先を、彼は想像していなかった。
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